HPV(ヒトパピローマウイルス)とは
HPVはとてもありふれたウイルスで、性交渉の経験のある女性の80%以上が生涯で一度は感染を経験します。
子宮頸がんをはじめ、膣がん、肛門がんなどのがんや、尖圭コンジローマの原因となるウイルスです。
HPVワクチンとは
子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVの感染を防ぐことができます。
世界では約130か国以上で承認され、約110か国において定期接種が実施されています。
HPVワクチンの種類
ワクチンの種類 | 予防できるHPVの型 |
---|---|
9価(シルガード9) | 6 11 16 18 31 33 45 52 58 |
4価(ガーダシル) | 6 11 16 18 |
2価(サーバリックス) | 16 18 |
(6型と11型は尖圭コンジローマの原因となる低リスク型)
HPVワクチンの効果
高リスクHPVの中でも特にがんになりやすい16型と18型は、いずれのワクチンでも予防効果があります。20~30歳代の子宮頸がんのうち、80~90%がこの2つの型が原因です。
9価ワクチンは、16型と18型に加えて5種類の高リスク型HPVに対する予防効果があり、すべての世代で90%以上の子宮頸がんを予防すると推定されています。
海外では9価ワクチンが主流であり、日本でも2023年4月より定期接種化されました。
これらワクチンはHPVの感染を予防するもので、すでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。
HPVワクチンの安全性
主な副反応は、接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状です。
ワクチンが痛いのではないかと緊張したり、その緊張が解けたりしたときに気を失う(失神)ことがありますが、横になって安静にするだけですぐに回復します。注射が苦手な人や、怖いなと思う人は、事前にお伝えください。
また、広い範囲の痛み、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)といった多様な症状が報告されています。
過去に、これらの症状がHPVワクチンによる副反応ではないかと懸念されましたが、その後の調査で、安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められました。このため一時中断となっていたHPVワクチンの接種勧奨が再開されました。
HPVワクチン接種時に大切なこと
HPVワクチンの有効性と安全性について十分に理解したうえで接種することがもっとも大切です。そして、少しでもリラックスした環境で接種することも大切なため、接種について気になることや不安なことは、事前にご相談ください。
当クリニックでは、接種者本人と十分なコミュニケーションを図ったうえで接種をおこなっています。
HPVワクチンと子宮頸がん検診で、子宮と命を守りましょう
日本では若い世代の子宮頸がんが増えています。
子宮頸がんの予防には、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の両方とも大切です。
HPVワクチン
子宮頸がん検診